主任研究者挨拶

 

今村先生写真

NET Registry主任研究者
日本神経内分泌腫瘍研究会
理事長
今村正之

 

皆様におかれましては益々、ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 2012年9月23日に全国の320を超える診療科が会員となり結成された日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS:Japan Neuroendocrine Society)の事業の一つに神経内分泌腫瘍患者登録事業が掲げられています。
希少疾患である神経内分泌腫瘍(NET)の発生状況の把握と治療効果の評価にためには、一人ひとりの患者さんの経過の記録が貴重な資料となります。そして、永続的な患者の悉皆的登録研究(NET Registry)を基にして、臨床上の重要課題についての臨床研究の遂行が可能となります。臨床研究の課題に関しては、JNETSのプロジェクト委員会で公募して、選択された課題については全国規模でプロスペクティブに実施する予定です。
消化器のみならず肺・気管支・胸腺のNET患者の登録を成功させることで、本邦でのNET患者の実態把握と二次的な臨床研究を遂行することが可能となり、その結果を分析することにより新たなNET診療ガイドラインを作成できると考えられます。
 本邦におけるNET研究をさらに推進させるためには、戦略的に精度の高い研究を継続的に行っていく必要があり、稀少疾患であるために、JNETSを中心にオールジャパン体制で協力して研究を遂行することが不可欠です。患者登録はTRIで集約的に実施されますので、高品質で信頼性の保証されたデーター解析と臨床研究の遂行も可能です。
 また、九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学の伊藤鉄英先生が主任研究者となって実施される治癒切除不能進行性消化器・膵神経内分泌腫瘍を対象とする臨床研究(PROP-UP)にもご協力をお願いします。両方の登録が成功することで、非常に精度の高いデーターベースができると考えております。
 ご多忙な皆様には、お手数をお掛けしますが、本邦のNET研究推進のために、是非とも、ご協力いただきたく存じ上げます。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

 


 

 

伊藤先生写真

 

PROP-UP主任研究者
九州大学大学院病態制御内科学
伊藤鉄英

 

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 PROP-UP Studyは、膵あるいは消化器を原発部位とする治癒切除不能または治癒切除後再発と診断された、NET患者の生命予後の調査を通して、現在の日本における実態を明らかにし、今後のNET患者の更なる予後の改善のための礎を築くことを目的に立案したものです。
 WHO分類のGrade別の予後に関するデータは、日本では皆無です。
このため、PROP-UP Studyにおいて、データを集積させ、WHO分類が日本のNETの実態を反映するかを検討するとともに、この基準が日本のNETの実態を反映するものでなければ、新たなGrade分類の基準値(Ki-67 index(%))の設定を画策します。
 PROP-UP Study Ⅰでは、日本のNETの実態を反映したKi-67 index (%)におけるG1/G2分類のCut off値を推定し、 PROP-UP Study Ⅱでは PROP-UP Study Ⅰ で得られたCut off値を再現できるか検証します。
 このように、推定と再現という2段階で検証することで、日本のNET患者の予後をより正確に反映したKi-67 index (%)のCut off値を導き出せると考えております。
PROP-UP Studyの顧問でおられる今村正之先生が主任研究者となって実施される、悉皆(全例)レジストリー「NET Registry 研究」と並行して実施することで、国内のNET患者を幅広く集め、より正確な国内の実態調査が可能になると考えております。